衝動
電車のホームに立っていると、誰かに突き落とされるんじゃないか、と怖さを感じる時がある。
強く背中を押される
突如僕の声は前に出なくなる
押された時の感触そのままに
宙に舞う僕の体
輪郭のはっきりしない電車が
大きな悲鳴を上げる
その瞬間
真っ黒になる僕の視界
ジ・エンド
そんな光景が僕の頭を駆け巡る。
後ろを振り返る。
知らない顔たちは、自分にしか関心がないように見える。
誰かに恨まれる覚えはない。
僕の背中を押す奴はきっと、衝動的に人を殺してみたくなっただけなんだ。
ニュースでよく見る「衝動的な殺人」ってやつ。
それに自分が巻き込まれないなんて保証はどこにもない。
衝動に抗うことができない人は結構いると思う。
僕もそのひとり。